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オンライン美術館とは?おすすめのオンライン美術館も解説|リットVRギャラリー

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行動制限で変わった美術館、オンラインの取り組み 2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響で一時、世界の多くの都市で厳しい行動制限がなされました。美術館も例外ではなく、行動制限の期間、一時閉鎖や休館を余儀なくされ、世界中の美術愛好家のアート鑑賞の機会やアーティストの作品発表の場が奪われました。一方で美術館に携わる多くの人々が我々に美術に触れる機会を取り戻そうと奮闘し、さまざまな美術作品の展示スタイルを模索し挑戦する取り組みもたくさんありました。 その一つがインターネット上のバーチャル空間で美術作品やアート作品を展示する オンライン美術館 です。 オンライン美術館とは オンライン美術館とは、インターネット上の美術館WebサイトやVR技術で作ったバーチャル美術館で、美術作品やアート作品を展示・公開してある美術館のことです。オンライン美術館で展示される作品は、美術館にある実際の絵画や彫刻・陶芸品などをデジタルカメラやスキャナーなどを用いてデジタル化されています。利用者は、インターネットに接続されたパソコンやタブレット、スマートフォン、VRゴーグルなどのデジタルデバイスを使い、WebサイトやYouTube、Google ストリートビュー、スマホアプリ等で、日本国内だけでなくヨーロッパや中東、南米など世界中の美術館の作品の鑑賞を楽しむことができます。 Googleストリートビューで見るオンラインの大英博物館 (出展:Googleアートプロジェクト) 作品の展示スタイルはさまざまで、デジタルアーカイブされた美術品の画像はもちろん動画や音声、バーチャル空間のVR映像など多種多様な展示スタイルがあります。またユニークな操作が可能なオンライン美術館もあり、高解像度の画像の場合は拡大して絵画などの色彩や素材感なども詳しく鑑賞できる展示や、実際に美術館を訪れたように3D空間をウォークスルー操作で疑似体験ができるオンライン美術館もあります。 代表的なオンライン美術館では、多くのデジタルアーカイブされた美術品を無料で鑑賞できるのも特徴ですが、学芸員による作品解説の動画を有償チケットで提供している美術館もありました。 [PR]オンライン美術館を体験 オンライン美術館のメリット オンライン美術館は、パソコンやスマートフォンなどの身近なデジタルデバイスを使い、インターネット接続するオンライン展

SNSを活用する美術館|リットVRギャラリー

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1回のSNS投稿が100万円を超える広告効果!? アムステルダムにあるゴッホ美術館( https://www.vangoghmuseum.nl/ )のX(旧Twitter)公式アカウントによって投稿された2023年9月28日の ポスト(ツイート) が表示回数が246.9万件、エンゲージは2.3万件に至る「 大バズり 」になったことはご存知でしょうか? 世界中でバズったゴッホ美術館のポスト この246万回の表示、2.3万回のエンゲージとは、現在、日本のトップ・ブイチューバーであるホロライブの宝鐘マリンさんの9月の人気ポスト(投稿)をしのぐ物凄い数値です。 この投稿について、X(旧Twitter)のインプレッション広告として費用を試算したところ、下限に近い広告掲載の入札レートでも 100万円 を遙かに上回る費用効果があり、その凄さが良く分かります。 【これはかわいい~ッ!】「ポケモン」と「ゴッホ美術館」がコラボ! |マイナビニュース ゴッホ美術館が1回のSNS投稿でこれだけの反響があったのは、マイナビニュースの記事にもある通りポケモンとゴッホの絵画のコラボレーション企画を行ったためです。世界トップレベルであるメガコンテンツとのコラボ企画ということで、コストの面や運用・契約面から限られた企業や団体でしか実施できないSNS企画ですが、SNSの反響力の高さや全世界へ話題を拡散できる実力を示した事例だと思います。 [PR]言語の壁が無いオンライン美術館 ほとんどの公立美術館はSNSを活用 当社にて公立の美術館におけるSNSアカウント開設状況を調べたところ、9割以上の施設でX(旧Twitter)を利用し、概ね半数の施設でInstagramによる情報発信を行っていました。ほとんどの公立美術館は何らかのSNSを活用して施設の情報発信を行っていることがわかります。 一方、投稿の頻度は施設により差があり、1週間に複数の投稿を行っている施設は少数派で、月に数回という頻度が最も多い印象でした。 多くの公立美術館では、 先のブログ でも触れましたが、美術館の学芸員や職員は人手不足の傾向が強く、限られた人員や時間の中でSNSの運用行っているのではないか?と推測しています。 日本一「バズる美術館」 森美術館 多くの美術館で活用されるSNSですが、日本の美術館におけるSNS活用の第一人者と言えば言わ

デジタル技術で障害者にアートを届ける|リットVRギャラリー

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 芥川賞作家が訴えた現実 ~読みたい本が読めない~  2023年7月19日、第169回芥川賞の受賞作に重度障害者の市川沙央さんが自らと同じ障害を持つ主人公の描いた作品「ハンチバック」が選ばれました。市川さんは、芥川賞の受賞記者会見で「一番訴えたいことは 読書バリアフリー が進むこと」「読みたい本を読めないのは、権利の侵害だと思うので」と率直な思いを訴えました。 芥川賞 受賞作品 ハンチバック 芥川賞作家・市川沙央さんが訴える「読書バリアフリー」|産経新聞 「 読みたい本を読む権利 」市川さんの言葉は本当に重いと思います。 一方、読書と同じようにアートの世界においても、人が生きていく上で侵害されてはいけない「美術を鑑賞する権利」は存在すると考えます。では、美術館がどのようにして 鑑賞のバリアフリー に応えるのか?美術館を訪れることが難しい障害者にどのように 美術を届けるのか? 大きな課題です。 様々な分野でアクセシビリティが求められる中、2022年5月、国は障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法を公布・施行(令和4年5月25日)しました。 この法律は、全ての障害者にとって、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動における情報の十分な取得利用・円滑な意思疎通が極めて重要であると国が定め、これにより、国や自治体の美術館等は、来館できない障害者への配慮が求められるようになりました。 障害者による情報の取得利用・意思疎通に係る施策の推進|内閣府 オープンした鳥取県立バリアフリー美術館 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の施行後、鳥取県が全国に先駆け、障がいのあるアーティストの作品に特化したオンライン美術館「 鳥取県立バリアフリー美術館 」が2023年2月28日にグランドオープンしました。 「バリアフリー美術館」インターネット上にオープン|NHK NES WEB [PR]オンライン美術館を体験 鳥取県立バリアフリー美術館とは? 鳥取県立バリアフリー美術館とは、障害のあるアーティストが制作した自由で純粋なアート作品を多くの人に鑑賞してもらうことや、美術館や展示会に行くことが難しい人々にも芸術に触れる機会を提供することを目的に鳥取県と凸版印刷株式会社が共同開発したオンライン上のデジタル美術館です。鳥取県のプレスリリースによると公立のオンライン

当社VR制作サービスに動画再生機能を追加|リットVRギャラリー

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バーチャル美術館制作サービス Lit VR Gallery に動画再生機能を追加 ~VR空間内での動画再生で作品展示に新しい可能性を~ 株式会社リットシティ(代表取締役:植野 博実、本社:岡山県岡山市北区 以下、リットシティ)は、バーチャル美術館制作サービス「Lit VR Gallery(リット VR ギャラリー)」にインターネット上に構築したバーチャル空間内での動画再生機能を追加したことをお知らせいたします。 バーチャル空間内動画再生機能の利用例 学芸員による作品や作家の解説 歴史や文化などの紹介動画の表示 3Dデータ化の困難な展示物の表示 今後の企画展などのPR動画の表示 VR空間内での動画広告の表示 今回、当社のバーチャル美術館制作サービス「Lit VR Gallery」に追加致しました動画再生機能は、バーチャル空間内で動画を表示できるもので、専用アプリを必要としないウェブベースのVRでは稀なものとなります。 特に学芸員の解説動画やメッセージ、CGでは表現できない無形な文化財や歴史の紹介なども可能となり、美術館・博物館特有のコンテンツを動画で表示することで、バーチャル展示に幅が広がります。 また、動画をクリックすることで、YouTubeページなど任意のウェブページを表示することも可能なため、VR空間内での動画広告など、応用範囲も大きく広がります。 今後も当社のバーチャル美術館制作サービス「Lit VR Gallery」は、お客様のニーズに合わせ、製品の魅力を向上させ、より多くの方々に楽しんで頂けるサービスを展開して参ります。 PRTIMESでのプレスリリース Lit VR Galleryとは? インターネット空間に24時間365日、美術品の展示ができるバーチャル美術館サービスです。 美術品のインターネット展示・閲覧だけでなく3Dバーチャル美術館内を散策可能で、美術館訪問の疑似体験を提供します。 Nintendo Switchのゲーム開発にも採用されている3Dプラットフォームを採用し、専用アプリを必要とせず、パソコンやスマートフォン、タブレットのブラウザで利用が可能です。 クラウドサービスであるため低コストでインターネット上のバーチャル美術館を実現。来場者のメールアドレス収集も可能で、企画展・特別展の開催案内の配信など、リアルな美術館への来館を促すことを可能にす

クラウドファンディングと美術館・博物館|リットVRギャラリー

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国立科学博物館によるクラウドファンディング 2023年8月7日、国立科学博物館がクラウドファンディングで1億円の資金を募ると発表し大きなニュースとなりました。 国立科学博物館 資金危機的 1億円クラウドファンディングへ|NHK NEWS WEB 国立科学博物館は、日本最大規模のコレクションがあり、日本の博物館の牽引役となる事業を数多く行っている影響力のある博物館です。国立科学博物館がクラウドファンディングを実施する背景について記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う休館などの影響で入館者数が5分の1に激減、その後ウクライナ戦争による物価高騰の影響を受け光熱費は2倍に高騰し、国からの運営費交付金だけでは博物館運営ができない危機的な財政状況があることから、クラウドファンディングで資金調達に至ったと明らかにしました。 国立科学博物館 そして翌日8月8日、クラウドファンディングの開始から24時間で2万4000人を超える支援を受け、 目標金額を大きく超える4億円の支援に到達 (*1)したと、国立科学博物館がクラウドファンディングサイトで明らかにしました。支援者の人数や到達金額から国立科学博物館に対する人々の関心の高さが伺える結果だと思います。 *1  国立科学博物館 2023/08/07公開 クラウドファンディング|READYFOR 1億円を超えるクラウドファンディングに至ったことにSNSでは「クラファンの前に国による財政支出をすべきでは?」との声も散見しましたが、国立科学博物館への国の運営交付金は令和4年度の25億円から令和5年度は28億円と3億円ほど増えており(*2)、光熱費の高騰が想定を超えたため、このタイミングでのクラウドファンディングに至ったのではないか?と当ブログでは推測しています。 *2 独立行政法人国立科学博物館年度計画 令和5年度 (P19/運営費交付金 28億円)、 令和4年度 (P19/運営費交付金 25億円) 博物館・美術館が活用を始めたクラウドファンディング 国立科学博物館によるクラウドファンディングの件は、NHKや民放各社のニュースでも大きく取り上げられ話題になりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、複数の博物館や美術館でクラウドファンディングを利用した資金調達が行われています。 倉敷の大原美術館がクラファン開始 コロナ禍で「90年の歴史

博物館・美術館の新たな役割とデジタルアーカイブなどの課題|リットVRギャラリー

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 70年ぶりの博物館法の改正 文化庁のホームページ 2023年4月1日に施行された改正博物館法。約70年ぶりの博物館法の改正により博物館や美術館には新たな役割が追加されました。当ブログが注目したのは下記の点です。 博物館資料のデジタル・アーカイブ化を追加 他の博物館との連携、地域の多様な主体との連携・協力による文化観光など地域の活力の向上への寄与を努力義務化 従来の博物館法では博物館や美術館の役割を「社会教育施設として、資料の ①収集・保管 ②展示・教育 ③調査・研究」と定義していましたが、今回の改正で 「デジタル・アーカイブへの取り組み」 と 「地域の文化観光への寄与」 が追加されています。 出展: 令和4年度博物館法改正の背景(文化庁) デジタルアーカイブの現状 ジャパンサーチのデジタル・アーカイブ検索 日本の博物館や美術館のデジタルアーカイブの実施状況についてインターネットで公開されている統計情報を調べてみたところ令和4年(2020年)の文化庁委託調査「博物館の機能強化に関する調査」に公開されていました。一部抜粋すると下記の通りです。 ・デジタル・アーカイブの実施有無(n=1530 館) 実施している:24.4% 実施を検討している:26.4% 実施予定なし:49.2%  ・デジタル・アーカイブに関する専門知識を持った職員の有無(n=371 館) 常勤職員が在籍:17.3% 非常勤職員が在籍:6.5% 在籍していない:73.4%  ・デジタル・アーカイブ化された資料の公開の有無(n=373 館) すべての資料を公開:9.1% 一部資料を公開:66.8% 公開していない:24.1%  出展: 博物館資料のデジタル・アーカイブ化の目的・状況について(令和4年6月28日) 2020年の調査結果から、デジタル・アーカイブ済みの施設は約25%、アーカイブした作品のデジタル展示で公開を行っている施設は9%という状況でした。今回の博物館法の改正に伴い、7割以上の博物館や美術館施設が今後、対応を迫られることが予想されます。 [PR]デジタルアーカイブのオンライン公開例 美術館のデジタルアーカイブにおける課題 文化庁は、博物館や美術館に収蔵されている文化財産のデジタル・アーカイブの重要性から、博物館法に博物館の事業として明確化しました。一方で

デジタル展示で長期休館を解決 ~美術館・博物館の改修工事~|リットVRギャラリー

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築50年を迎える美術館や博物館  高度経済成長期の前後から国や地方自治体により整備された道路や橋梁、水道などの社会インフラが建設から50年以上経過し、深刻な老朽化を迎える社会問題をWebニュースやテレビなどのメディアの報道で目にしていると思います。国土交通省によると2033年には主要なインフラの過半数が50年以上経過するとの報告もなされています。 実はこの社会インフラの老朽化問題、公立の美術館や博物館も抱えている問題です。文部科学省の調査によると1980年半ばから1990年代半ばまでの期間に日本全国で建設された国立・公立の博物館施設数は最も多く、1400施設ほどになります。これらの博物館や美術館の施設は2025年までに開館から50年を迎え、最近では下記ような博物館や美術館の改修工事による一時休館や長期休館のニュースもしばしば目にするようになりました。 宮城県美術館19日から長期休館 再オープンは25年度|河北新報オンライン ふくやま美術館の大規模改修を検討 老朽化と収蔵品増え手狭に|中國新聞デジタル 日和佐うみがめ博物館カレッタ 全面改修で来春まで休館|NHK NEWS WEB 長期休館中はデジタル展示で 一方で改修工事による博物館や美術館の一時休館や長期休館により、貴重な収蔵品や美術品の鑑賞機会が失われることになります。これは地域の人々や愛好家、美術や歴史を学ぶ学生にとって大きな機会損失であり、地方自治体や施設管理者にとっても大きな課題です。 そのような長期休館でも、収蔵品や美術品の鑑賞機会を幅広く提供しようと宮城県美術館では、デジタル技術を活用した美術品やアート作品のデジタル展示をする試みを行っています。 宮城県美術館が改修工事で長期休館へ 休館中はデジタル鑑賞も|NHK NEWS WEB [PR]デジタル鑑賞を体験 同記事では ”宮城県美術館では休館中でも美術作品を楽しんでもらえるよう、一部の絵画をデジタル撮影してホームページで公開しているほか県内の図書館などで鑑賞してもらう取り組みを始めます。” と紹介してしています。長期休館中もデジタル化された宮城県美術館の収蔵作品を公式のWebサイトでオンライン展示を行ったり、宮城県図書館に設置した大型モニターでデジタル化した作品展示する等、オンライン・オフライン両方で県民や美術ファンがデジタル鑑賞できる工夫を行っていま