SNSを活用する美術館|リットVRギャラリー

1回のSNS投稿が100万円を超える広告効果!?

アムステルダムにあるゴッホ美術館(https://www.vangoghmuseum.nl/)のX(旧Twitter)公式アカウントによって投稿された2023年9月28日のポスト(ツイート)が表示回数が246.9万件、エンゲージは2.3万件に至る「大バズり」になったことはご存知でしょうか?

世界中でバズったゴッホ美術館のツイート
世界中でバズったゴッホ美術館のポスト

この246万回の表示、2.3万回のエンゲージとは、現在、日本のトップ・ブイチューバーであるホロライブの宝鐘マリンさんの9月の人気ポスト(投稿)をしのぐ物凄い数値です。
この投稿について、X(旧Twitter)のインプレッション広告として費用を試算したところ、下限に近い広告掲載の入札レートでも100万円を遙かに上回る費用効果があり、その凄さが良く分かります。

【これはかわいい~ッ!】「ポケモン」と「ゴッホ美術館」がコラボ! |マイナビニュース

ゴッホ美術館が1回のSNS投稿でこれだけの反響があったのは、マイナビニュースの記事にもある通りポケモンとゴッホの絵画のコラボレーション企画を行ったためです。世界トップレベルであるメガコンテンツとのコラボ企画ということで、コストの面や運用・契約面から限られた企業や団体でしか実施できないSNS企画ですが、SNSの反響力の高さや全世界へ話題を拡散できる実力を示した事例だと思います。

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ほとんどの公立美術館はSNSを活用

当社にて公立の美術館におけるSNSアカウント開設状況を調べたところ、9割以上の施設でX(旧Twitter)を利用し、概ね半数の施設でInstagramによる情報発信を行っていました。ほとんどの公立美術館は何らかのSNSを活用して施設の情報発信を行っていることがわかります。

一方、投稿の頻度は施設により差があり、1週間に複数の投稿を行っている施設は少数派で、月に数回という頻度が最も多い印象でした。

多くの公立美術館では、先のブログでも触れましたが、美術館の学芸員や職員は人手不足の傾向が強く、限られた人員や時間の中でSNSの運用行っているのではないか?と推測しています。

日本一「バズる美術館」 森美術館

多くの美術館で活用されるSNSですが、日本の美術館におけるSNS活用の第一人者と言えば言わずと知れた森美術館(https://www.mori.art.museum/)です。森美術館のSNS活用の特徴は下記になると考えます。

  • Instagram、X(旧Twitter)、facebook、TikTok等の複数のSNSで各々の利用者特性に合わせた投稿
  • 美術館内のスマホ撮影を原則許可して、SNSへの投稿を推奨。その際、推奨ハッシュタグを施設内に明示
  • Instagramやfacebookでは日本語と英語の2か国語で表記

当ブログの都合で3点にまとめましたが、実際の森美術館ではさらに緻密なSNS施策やマーケティング施策をPDCAサイクルで検証しながらマネージメントされており、そちらについては他メディアのマーケティング記事などをご参照頂ければ幸いです。


森美術館のSNSアカウント

他方、多くの公立の美術館が森美術館と同等の取り組みを行っていくことは、ヒューマンリソースの不足やWebマーケティングの専門性の不足、何よりも予算の問題で運用を行っていくことは簡単でない考えます。

例えば「美術館内でのスマホ撮影を原則許可」について、考えられるだけでも下記のハードルがあり、それをクリアすることは簡単ではありません。

  • フラッシュによる作品の劣化防止策
  • 作品の権利者との交渉や調整
  • その他のお客様の静かな鑑賞環境を保つ など

しかし、現在のクラウドサービスの進化によって下記については、SNSを活用しているどの美術館でも取り組みへの検討が可能だと思います。

  • SNSへ日本語と英語の2か国語で表記

当然のことですが、美術ファンは日本国内だけではなく海外にもいらっしゃいます。そして、世界の人口の約25%の人々が英語を使用していることを考えると、世界中につながっているSNSにおいて英語で発信しないのはもったいないですね。

進化したクラウド翻訳をSNSで活用

ただ英語で発信するとなると「翻訳できる人材がいない…」といった課題に直面しますが、昨今のクラウド翻訳サービスは、AI技術も導入され凄いスピードで進化をしています。

そしてクラウド翻訳サービスで今最も話題になっているのがDeepL翻訳https://www.deepl.com/)です。DeepL翻訳は、1回に翻訳できる文字数5000文字までは無料のサービスですが 日本語⇔英語 の翻訳精度は高く、過去の機械翻訳と異なり「非常に自然な翻訳だ!」と評価を得ています。

外国語の壁を取り払う翻訳AI、DeepLとGoogleレンズが重宝される理由|日経クロステック

短い文章での情報発信であれば、翻訳精度も向上したDeepL翻訳などのクラウド翻訳をSNSの英語発信ツールとして検討するのは一案だと思います。また5000文字/回の翻訳まで無料であるため、試験的な取り組みも行いやすいと思います。

DeepL翻訳
DeepL翻訳

ただし、クラウド翻訳でSNS発信を行う場合、下記のような留意や運用方法の検討が必要です。

  • 作品名や作者などの著作権者の権利に関わる表記は、機械翻訳を利用せずに必ず公式の英語名称で記述する。
  • 誤訳を避けるため長文翻訳は行わない。(長文は、翻訳前の日本語を予め要約してから翻訳)
  • バックトランスレーション(逆翻訳)を行い、翻訳文の精度を確認する。

クラウド翻訳を上手に活用したSNS発信で、全世界に向けた広報活動を検討してみてはいかがでしょうか?もしかしたら、全世界で「バズる」かもしれませんよ!?

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