【能登半島地震】熊本市現代美術館が残した道しるべ|リットVRギャラリー

メディアが伝える能登半島地震と熊本地震の違い

令和6年 能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県。2024年2月26日現在、240名を上回る人命が失われ、現在も1万人を超える人々が避難生活を余儀なくされています。

能登半島地震8週間 1万人超が避難所で暮らす 支援継続が課題に|NHK

また、インフラの復旧も過去の地震災害に比べ進んでいないとの報道も数多くなされています。2024年2月1日付の朝日新聞デジタルの記事では、2016年に発生した熊本地震との被害状況や復旧状況のデータをグラフ化しており、グラフの差異から今回の能登半島地震では実態把握や復旧に多くの時間を要していることがよくわかります。

数々の要因が重なり復旧が進まない困難な状況はあるかと思いますが、復旧に関わる皆様のご尽力に感謝しつつ、被災地の1日も早い復旧をお祈り致します。

熊本地震における美術館・博物館の被害と復旧時期

当ブログでは、石川県内で現在休館されている美術館・博物館の早期の復旧と再開館を注視し、能登半島地震後、公式サイトや公式SNSで公表されている石川県内の美術館・博物館の開館状況を可能な限りまとめてまいりました。

石川県内の美術館・博物館の開館状況|リットVRギャラリー

一方で未だ再開館が見通せない石川県内の美術館や博物館も数多くある中、朝日新聞デジタルのニュースで能登半島地震と比較された熊本地震では、美術館・博物館がどのような被害を受け、どのような時期に復旧・再開できたのでしょうか?
当ブログでは、Webのアーカイブを中心に調べてみました。

※2016年当時の熊本地震で被災した美術館・博物館のWebニュースが辿れないため、公式サイトや外部記事、収支報告書などを元に記載しております。

・熊本市現代美術館

公式サイト https://www.camk.jp/
被害:内部設備に被害、展示品の落下など被害
休館期間:2016年4月16日~6月25日(参照:熊本地震記録集「地震のあとで」
修復費:548万円(公益財団法人熊本市美術文化振興財団の収支報告書より

・熊本県立美術館

公式サイト https://www.pref.kumamoto.jp/site/museum/
被害:内部設備に被害、展示品の被害、収蔵庫内の美術品に甚大な被害
休館期間:2016年4月15日~5月28日(参照:Art Annual online
修復費:約1億8700万円(政党のニュースサイトより

・熊本博物館

公式サイト https://kumamoto-city-museum.jp/
被害:壁の破損、梁の亀裂、展示品や収蔵庫内の資料の落下や転倒等の被害
休館期間:2016年4月15日~2018年12月1日(2015年7月からのリニューアル休館中に被災、参照:熊本博物館|ごあいさつ
修復費:1億6760万円(熊本市 平成30年度当初主要事業一覧より

・御船町恐竜博物館

公式サイト https://mifunemuseum.jp/
被害:内部設備に被害、展示品の落下など被害
休館期間:2016年4月15日~7月24日(参照:御船町恐竜博物館ブログ
修復費:Webでの掲載を確認できませんでした

館の規模や被害の状況、収蔵品の数などで休館期間は異なると思いますが、建物への安全な入館が可能になってから2~3ヶ月の時間を要している印象です。また、修復費用については、収蔵品の多いと推察される熊本県立美術館や熊本博物館で、各々1億を超える修復費の計上がなされるなど被害の甚大さ、深刻さが伺えます。

熊本地震が美術館・博物館に残した道しるべ

熊本市現代美術館ブログ

他方、熊本地震は、多くの教訓やアーカイブを美術館・博物館の関係者の皆様が数多く残しています。
熊本市現代美術館の作成した『地震のあとで After the Earthquake』という熊本地震の記録集では、復旧日記や修繕記録、スタッフ座談会の実記は被災をされた館だからこその生の記録が記されています。多くの美術館・博物館の関係者の皆様が既に拝見されているかと思いますが、今だからこそ、熊本市現代美術館が残した道しるべを改めて多くの皆様にご一読頂きたい記録集となっております。

熊本地震記録集・熊本市現代美術館『地震のあとで After the Earthquake』

多大な支援が必要な被災地

今回の能登半島地震では、能登半島地域を中心とした建物への甚大な被害や輪島市での大規模火災で今も多くの地域で困難を極めています。
美術館・博物館にとっても熊本地震を上回る被害や復旧期間が想定され、国や行政機関の支援やクラウドファンディング等の多くの人々の支援なしには、復旧や館の再開が困難な状況と考えています。被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。




義援金のご案内(石川県、富山県、新潟県)

石川県庁、富山県庁、新潟県庁の公式サイトによる義援金の案内は下記リンクになります。

令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について|石川県(受付期間:2024年12月27日まで)

「令和6年能登半島地震災害義援金(富山県被災者支援分)」の受付について|富山県(受付期間:2024年3月29日まで)

令和6年能登半島地震で被災された方々(新潟県の被災者)への義援金の受付について|新潟県(受付期間:2024年6月28日まで)



リットVRギャラリーの資料請求

このブログの人気の投稿

オンライン美術館とは?おすすめのオンライン美術館も解説|リットVRギャラリー

博物館・美術館の新たな役割とデジタルアーカイブなどの課題|リットVRギャラリー

デジタル展示で長期休館を解決 ~美術館・博物館の改修工事~|リットVRギャラリー