バーチャル美術館制作サービス Lit VR Gallery の開発にあたって|リットVRギャラリー

こんにちは。VR制作担当の渡邊と申します。
今回は、Lit VR Galleryのコンテンツ制作について、技術的な側面から少し掘り下げてお話させて頂きたいと思います。

私共がご提供するLit VR Galleryは、2023年5月に正式リリースしました。
当社は長年にわたり、Webサービスやスマホアプリを開発・運営しておりますが、今回、新たにVRコンテンツへ着手し、事業領域の拡大を目指しています。

VRコンテンツは初めての取り組みではありますが、これまで長年培ってきた、当社のWebサービス提供ノウハウを活かして、お客様に自信を持ってお勧めできるサービスを念頭に、設計・開発を進めました。

Lit VR Gallery におけるVRコンテンツ例

Lit VR Gallery におけるVRコンテンツ開発画面

まず、Lit VR Galleryコンテンツを開発するにあたって、基本的なコンセプトは次のようなものでした。

  1. 楽しみながら美術鑑賞できる
  2. バーチャル美術館からリアル美術館へ誘導できる
  3. 低価格・短納期でご提供できる
  4. 専用アプリを必要とせず、全てのデバイスで動作する

これらのコンセプトを基本方針として、開発メンバーで要件を満たすことができるVR開発ツールを比較検討しました。

1〜3.の要件は、コンテンツをどのように作るか…創意工夫で対応できるのですが、4.の要件「専用アプリを必要とせず、全てのデバイスで動作する」は、技術的に対応可能なVR開発ツールに限りがありました。

この要件をクリアするには、ブラウザで動作するWebコンテンツとしてVRを書き出すことが必要となりますが、結局、要件を満たせるVR開発ツールは、Unity Technologies社の「 Unity 」一択となりました。

UNITYプラットフォームのWebサイト
UNITYプラットフォームのWebサイト

他社VR開発ツールでも、非公式にWebコンテンツとして書き出すことはできるのですが、サードパーティのツールを組み合わせての試行錯誤が必要となります。

このため、将来に渡って安定的な供給ができるか不安がありましたので、事業継続性を最優先に考え、Unityを採用するに至りました。

なお、Unityでは、標準機能で「WebGL」という形式に出力できます。
WebGLは多くのブラウザがサポートしているため、多くのデバイスで動作し、ネイティブアプリでできることがそのままブラウザ上で再現できます。

WebGLのfacebookページ
WebGLのfacebookページ「UNITY5がWebGLをサポート」

一方、WebGLで書き出したVRコンテンツは、ブラウザが読み込んで動作しますので、ファイルサイズには細心の注意が必要となります。そこで、圧縮形式やダウンロードサイズ、デバイスのメモリなどを考慮して、一定のチューニングが必要となります。

また、WebGLはブラウザが実行しますので、ネイティブアプリほど軽快に動作できません。複雑なオブジェクトを多数配置したり、凝ったライティングを行うことでパフォーマンスが低下し、滑らかな動作ができなくなります。

こういったVRコンテンツ制作の工夫やチューニングによって、ようやくLit VR Galleryは、VRサービスとしてリリースすることができました。

これからも、Lit VR Galleryはお客様のニーズにお応えしながら機能や利便性向上を追求し、より良いVRサービスに育てていきたいと考えております。

今回、Lit VR Galleryの基本コンセプトの一つについてお話ししましたが、このほかは、次回以降で触れさせて頂きたいと思います。


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