デジタル展示で長期休館を解決 ~美術館・博物館の改修工事~|リットVRギャラリー

築50年を迎える美術館や博物館

 高度経済成長期の前後から国や地方自治体により整備された道路や橋梁、水道などの社会インフラが建設から50年以上経過し、深刻な老朽化を迎える社会問題をWebニュースやテレビなどのメディアの報道で目にしていると思います。国土交通省によると2033年には主要なインフラの過半数が50年以上経過するとの報告もなされています。

実はこの社会インフラの老朽化問題、公立の美術館や博物館も抱えている問題です。文部科学省の調査によると1980年半ばから1990年代半ばまでの期間に日本全国で建設された国立・公立の博物館施設数は最も多く、1400施設ほどになります。これらの博物館や美術館の施設は2025年までに開館から50年を迎え、最近では下記ような博物館や美術館の改修工事による一時休館や長期休館のニュースもしばしば目にするようになりました。

宮城県美術館19日から長期休館 再オープンは25年度|河北新報オンライン

ふくやま美術館の大規模改修を検討 老朽化と収蔵品増え手狭に|中國新聞デジタル

日和佐うみがめ博物館カレッタ 全面改修で来春まで休館|NHK NEWS WEB

長期休館中はデジタル展示で

一方で改修工事による博物館や美術館の一時休館や長期休館により、貴重な収蔵品や美術品の鑑賞機会が失われることになります。これは地域の人々や愛好家、美術や歴史を学ぶ学生にとって大きな機会損失であり、地方自治体や施設管理者にとっても大きな課題です。
そのような長期休館でも、収蔵品や美術品の鑑賞機会を幅広く提供しようと宮城県美術館では、デジタル技術を活用した美術品やアート作品のデジタル展示をする試みを行っています。

宮城県美術館が改修工事で長期休館へ 休館中はデジタル鑑賞も|NHK NEWS WEB

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同記事では”宮城県美術館では休館中でも美術作品を楽しんでもらえるよう、一部の絵画をデジタル撮影してホームページで公開しているほか県内の図書館などで鑑賞してもらう取り組みを始めます。”と紹介してしています。長期休館中もデジタル化された宮城県美術館の収蔵作品を公式のWebサイトでオンライン展示を行ったり、宮城県図書館に設置した大型モニターでデジタル化した作品展示する等、オンライン・オフライン両方で県民や美術ファンがデジタル鑑賞できる工夫を行っています。また移動可能なデジタルの良さを最大限活用し、デジタル撮影した原寸大のレプリカを県内の小中学校の大型モニターで学生が鑑賞できるような取り組みも行うとのことです。

低予算でデジタル展示は可能

ただ、多くの美術館・博物館が都道府県や人口の多い自治体と同等の予算を組めるわけではありません。人口規模が大きくない自治体の美術館・博物館は、宮城県美術館とまったく同じデジタル展示の取り組みを行うことは予算の面で難しいと思います。

しかし、一般的なインターネット技術や廉価なパブリッククラウドサービス、最新のデジタル技術を組み合わせることによって、少ない予算でも美術館・博物館の長期休館中に地域の住民や愛好家に美術品や収蔵品のデジタル展示、オンライン展示ができる方法はあります。

これから改修工事により長期休館や一時休館を迎えられる美術館や博物館は、休館中のデジタル展示を様々な方法で検討してみてはいかがでしょうか?

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